ヒートショックという言葉をご存じでしょうか?
これは温度差により体に様々な害を及ぼす現象で、高齢者は命を落とす確率が高いとも言われています。
そのため、老人ホームなどの高齢者施設でも、ヒートショック対策に力を入れているそうです。
老人ホームでも警戒されるヒートショックとはどんな現象なのか、ご紹介していきます。
■冬場・入浴中に起きやすいヒートショックとは?
ヒートショックとは、体温が急激に下がることにより、体は温度を上昇しようと活発化します。
それと同時に血圧や心拍数を急激に上昇してしまうため、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血、不整脈、失神などの症状があらわれる現象です。
若い人にも十分あり得るものですが、高齢者の場合は血管が脆かったり、高血圧、糖尿病などの持病を持っていたりするので、ヒートショックになりやすいと言われています。
冬場は室内と廊下や脱衣所、浴室などの温度差が激しく、夏の11倍も起きやすいそうです。
特に古い家屋では浴室や脱衣所に暖房設備が設けられていないことが多いので、服を脱いで入浴すると温度差でヒートショックが起きやすくなります。
■入浴中の死亡数は多い
ヒートショックは入浴中に起きることが多いのですが、2011~2014年度の東京23区の入浴中の事故死は、60歳以上で全体の9割にも及んでいます。
そして、その事故は12月から2月の間に6割も集中しており、このことからヒートショックによる入浴中の事故死はかなり多いと予想できます。
減少しない理由は高齢化社会が進んでいること、さらに暖房設備が整っていない世帯が多いと推測できるでしょう。
■老人ホームではどのような対策がとられている?
老人ホームでは多くの高齢者がおり、入浴介護も行われています。
老人ホーム内でヒートショックにならないよう、どの様な対策が取られているのか見てみましょう。
・体調が悪い時は入浴させない
高齢者の入浴は体力を消耗させやすいので、老人ホームでは体調に応じて入浴を進めないこともあります。
・温度差を減らす
老人ホーム内での温度は一定を保つことを厳守し、脱衣室や浴室を温めて温度差を減らす工夫をしていることが多いです。
また、お湯をはる場合はあえてシャワーを使い、蒸気で満たす工夫もみられます。
・温度は上げすぎない
浴室とお湯の温度差もヒートショックの原因となるので、浴槽の温度を低めに設定する老人ホームもよくあります。
・声かけを必ず行う
老人ホームでは入浴中の声かけを大切にしています。
入浴中の高齢者に話しかけることで、異常をいち早く見抜くことが可能です。
ヒートショックは命を落とす危険性の高い現象なので、老人ホームでも念入りな対策がとられています。
しかし、それを家族が確認することは難しいので、入居前にヒートショックへの対策について、老人ホームから聞いておくと安心です。
在宅介護をしている方も、室内や浴室などの温度差に気を付け、ヒートショックから大切な家族を守りましょう。