日本が終戦を迎えてから70年以上も経ちました。
戦争後期に生まれた方は80歳を突破し、戦争の真っただ中に生まれた方はおよそ90歳であろうかと思います。
今日の私たちは戦争のない平和な空の下で暮らしています。
今では、日本人のほとんどが戦争を知らない世代ですから当然、老人ホームの入居者やそのスタッフの間には「戦争体験」という大きな溝があります。
戦争体験している方の多くが老人ホームで生活をしている中、その子供世代である団塊の世代の介護が危ぶまれています。
あと数年もしなううちにこの団塊の世代の高齢者が老人ホームに入居してくることになるでしょう。
■なぜ団塊の世代が老人ホームを利用が不安なのか
理由はさまざまですが、まず大きな理由として挙げられるのが人口の多さです。
団塊の世代の人数は今の働き世代の約3倍と言われています。
これだけの人数が老人ホームに流れ込んできた場合には、パニックは避けられません。
政府の方でも老人ホームに頼らなくてよい、在宅介護に関する支援制度を立て直しているようですが、将来どうなるかは闇の中です。
そして、介護職の人材不足が加速するとも言われています。
介護色は重労働な割に休みが少なく、薄月給と言われています。
この労働環境を整備しない限り、介護職は今後も減少していくと予想されます。
■団塊世代との大きな溝
いま現在、老人ホームを利用している高齢者の多くは戦争を体験していた世代です。
戦争を生き抜いた世代は、人と助け合う精神が染み付いていると介護職の人は言います。
高齢者の中でも老人ホームのスタッフと衝突する人や、入居者同士喧嘩がたえない方もいらっしゃいますが、基本的にはみな優しい人ばかりです。
しかし、団塊世代のように年功序列・終身雇用に絶対的な信頼を得てきた人はわけが違うようです。
団塊世代は高度経済成長やバブル景気を経験しており、日本の働き手として長年暮らしてきたわけですから、それなりのプライドを持っていて、自分の意見をしっかりと伝えたがります。
長い期間、日本を引率してきた人たちだからこそ今後の日本に与える影響が多く、彼らの今後の暮らし方も一辺倒ではいつか破たんしてしまうでしょう。
大事なのは、その世代も互いに思いやりを持つということです。
老人ホームに暮らす戦時中生まれの世代や団塊の世代、その人たちを介護するゆとり世代が互いに思いやりを持ち、1つの老人ホームの中で「共存していくこと」が重要になるでしょう。
その世代には、その世代なりの辛さや特徴があります。ますはそれを認めることから始めましょう。