私たちが日ごろ「老人ホーム」と呼んでいる施設には、実は国や厚生労働省の取り決めにより、様々な種類が存在しています。
見た目や管理などは似通っていて、一見老人ホームと同じ呼称でひとくくりにしてしまうくらい素人目には分からなくても、それぞれその老人ホームごとに違った決まり事で定められた運営が、個々の施設では行われているのです。
・介護療養型医療施設とは?
「介護療養型医療施設」とは、数ある老人ホームの中でも比較的重い病気や麻痺などで、長期にわたり医療的なケアを必要とする患者を対象にした施設のことを指します。
老人ホームの中でも、医療を主体として介護が行われる施設といえるでしょう。
例えていうなら、脳出血などの重い疾患を患い病院に入院を余儀なくされていたけれども、緊急の時期は脱したために、寝たきりなどの介護を必要とする患者などが介護療養型医療施設なのです。
病状が安定しているように見えても、一日のうちで単独での生活は困難で、他者によって介護する時間の割合が長いのも介護療養型医療施設に入所している患者の特徴です。
・老人ホームの中でも重要な位置にある介護療養型医療施設
また介護療養型医療施設には、老人性の認知症疾患専門の療養施設があります。
こちらは一般的には認知症の症状が進行してしまい、自宅では介護が困難と判断されてしまった人のために、医療管理の規則がある施設の中で介護する施設です。
介護療養型医療施設は通常は医療法人が運営管理していて、独立した施設であることはあまりありません。
多くは、その医療法人が経営する病院の敷地内にあり、療養施設として併設という形をとっていることがほとんどです。
私たちが病院を訪れた際に「病院の中に老人ホームのような施設が入っている」、と思う光景を目にすることがありますが、それは介護療養型医療施設の可能性があります。
介護療養型医療施設は、医療保険対象ではなく介護保険対象の老人ホームとなります。
また介護療養型は介護保険で要介護1の認定を受けていなければ、利用はできなくなっています。
医療的なケアを必要とする、症状が重いと医師から診断された利用者が、優先的に利用できることになっています。
地域の中でも、今後ますます高齢者を守る立場となる老人ホームとしての重要性が増す介護療養型医療施設です。
しかし、厚生労働省によると期限ははっきりとさせていませんが、廃止の意向を示しています。
特別養護老人ホームのように生涯の終の住処ではなく、一時的に滞在する施設としてとらえておくべきでしょう。