口腔ケアってよく聞くけど歯磨きと何が違うの?

老人ホームなどの福祉施設では、現在さかんに老人ホーム入所者および患者の口腔ケアの大切さが叫ばれています。
口腔ケアとはどんなもので、何故必要となるのでしょう?

・口腔ケアの大切さ
専門家である歯科の技術が以前より発達したこともあり、ただ歯ブラシで歯磨き粉をつけて磨いて歯垢を取り除くだけでは、歯茎から歯が抜け落ちる歯周病の原因となる口の中の細菌コントロールはできないことが分かりました。
将来自分の歯を失うことになり、老人ホームの入所者の世代では、特に若い頃のように口の中の健康を保つことが不可能なことが分かってきたのです。
歯周病の発症要因は様々ありますが、主に口の中の細菌群による感染症、そして加齢による免疫力の低下によってその感染症が悪化すること、細菌を減らす役目を果たす唾液がストレスや免疫低下により減ること、そして噛みあわせに問題があること、などが挙げられています。

・老人ホームでの口腔ケア
世代には関係なく口腔ケアは必要なことですが、とりわけ老人ホームなどの福祉施設で口腔ケアの重要性が叫ばれているのは、口腔ケアには清掃だけでなく咀嚼などの高齢による機能低下を防ぐ、リハビリなどを含む広い意味で使われることもあるのです。
口腔ケアの重要性を示すものとして分かりやすい例としては、厚生労働省が以前複数の老人ホームに調査に入って公表していた資料があります。
その資料の結果としては、決められた規則で口腔ケアを行っていた老人ホームとそうでない老人ホームとの間では、その入所者の認知症の進行度がはっきりと数字で分かるほど違っていたのだそうです。
歯と口を動かすことは、すなわちその人の全身の運動機能と脳活性にもつながりますから、老人ホームでは自分でできる人はできる限り自分で口腔ケアをするよう促し、できない人も介助者が口腔ケアを行うようにしています。
このように見ると、まさに老人ホームに入っている世代には口腔ケアを行わないことは深刻な問題であることが分かります。

具体的には口腔ケアとは、歯があるなしに関わらず口の中、つまり舌、歯茎、歯肉、のどの入り口、粘膜などの各機能と入れ歯の清掃と除菌のことを指します。
特に老人ホームなどでは歯ブラシでの歯磨きだけでなく、フロス、歯間ブラシを使ってブラシでは届かない歯のすきまの歯垢を除去すること、細菌の除菌を専用の洗浄液ですること、マッサージやリハビリテーションによって口の機能をできる限り以前のまま維持することが求められています。

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