■介護士と相談員が在中 大事な心のケア
施設には、長年介護に熟知した介護士や、普段の生活の悩みを相談できる相談員が在中している施設がたくさんあります。
施設に入居している高齢者にとっても心のケアは大事だと考え、より入居者のかたに過ごしやすくできるように努めている施設もおおくあります。
■高齢者の助長不安定は喪失感から、「寄りそう心のケア」が大切です。
歳を摂ると愚痴っぽくなったり、怒りっぽくなったりするお年寄りがよく見られます。
「私なんてなんの役にも立たないから…」と愚痴を零したり、町へ出るとイライラして店員に怒鳴り散らしたりする様子を見かけることがあります。
こうしたお年寄りも、ひと昔前はとても優しくておおらかな人だったなんていうこともあります。
ではなぜ老年期になるとぐちっぽくなったり、怒りっぽくなったりするのでしょうか?
高齢になるとひとは様々な「喪失感」を抱くことになります。
例えば、体力が落ちて若い頃のように自由に動けなくなったり、身体のあちこちが老化して病気になりやすくなったりする「身体」の喪失体験。
また、子供が巣立っていったり、パートナーや友人の死に向き合う「人間関係」の喪失体験。仕事を定年退職したり、子育てが終わることによる「役割」の喪失体験などです。
このように様々な「喪失体験」と向き合う老年期は、心がとても不安定になります。
では周りの家族ができることは何か?
それは「寄りそう」ということだと言われています。
むやみに「友達をつくったほうが」・「運動してストレスを解消したら」とアドバイスをしても、人それぞれに不向きがありますし、そう簡単に日々の行動を変えることはできません。
まずは家族がじっくり話をきいてあげることからはじめましょう。
怒りや不安、焦りはその気持ちを誰かに聞いてもらえるだけで、とても楽になります。アドバイスよりも、その人の気持ちを理解しようという気持ちで話しを聞いてみて下さい。
こうした「寄りそい」が一番の薬となります。
■老人ホームの入居者の尊厳を守るケア
尊厳という言葉の意味は、尊く厳かなことを指します。
その尊厳が老人ホームにどのように関係するのでしょうか?それは、老人ホームに入居する以前にしていた日常生活のように人としての尊厳を保つことだともいえます。
老人ホームに多くご高齢の方がいらっしゃるからといってその方々と同じように接するのではなく、日ごろから入居前にやっていたことを施設でも当たり前のようにやって頂くことで以前の生活のように世間との関わり合いを深く感じ取ってもらうことも重要なことだといえます。