高円賃?高優賃?高専賃?

一昔前までの我が国では、高齢者の新規の入居を断る賃貸住宅が数多くありました。
そのために作られていたのが、高齢者の入居を拒まないことをコンセプトとなっている「高齢者円滑入居賃貸住宅」、通称「高円賃」です。
また、これらの住宅の情報を提供する登録制度のことも「高円賃」と呼ばれています。
私たちが日常でなにげなく「老人ホーム」と呼んでいる住まいは、この「高円賃」制度を使った住宅であることも多いようです。
そして高円賃だけでなく、老人ホームにも様々な種類があることをご存知でしょうか。

・「高専賃」のあらまし
そんな高円賃の中でも、高齢者の入居者を専門に取り扱う、いわば専門の住宅が「高齢者専用賃貸住宅」つまり「高専賃」と呼ばれる老人ホームです。
通常老人ホームが、高専賃として認められるためには特に条件等はありませんが、中でも都道府県が定めた条件(広さや設備、食事や入浴、排せつなどの介護付帯サービス)に適合していると判断されたものは、「適合高齢者専用賃貸住宅」という別称が加わります。
老人ホームですから介護サービスを受けることはできますが、高円賃も高専賃も介護保険を使ってのサービスは受けることはできません。
老人ホームに支払う月額サービス料金に介護保険分は含まれていませんから、別に介護保険事業者と契約する必要があります。
高専賃とするために特定の条件がないということは、サービスがその高専賃の老人ホームごとにバラバラということになり、そこで不便さを感じるという意見もあったそうです。

・「高優賃」とは?
高専賃ともうひとつの老人ホームとなる高優賃との違いは、所得ごとの家賃補助の有無です。
最大4割ほどの家賃が受けられるとされる高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)は、民間事業者や都市機構などによって運営されている賃貸住宅です。
原則自立している、もしくは軽度の要介護状態の高齢者が入居を認められています。
高専賃とは違って部屋のバリアフリー化がされ、各部屋内に緊急通報装置が備え付けられていることが義務として求められているのも特徴のひとつです。

2011年にこれら高円賃、高専賃は新規につくることは政府の方針で廃止されることになりました。
今後は、これら老人ホームは「サービス付き高齢者向け住宅」と名称を変えて、すべて一律のサービスを提供されることになります。
また、賃貸契約面などで条件や基準を満たさないことでトラブルが多かった高円賃や高専賃は、老人ホームとしての再登録ができなくなることも決定しています。

相談する
お問い合わせ